One Summer Love.

 

 

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私が欲しいのは愛か死よ

チルダ / レオン

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"エモい事がしたい"

 

夏の終わりには誰しもがそう思うだろう。

 

花火大会のようなどデカい花火が上がり

 

恋が始まる者もいれば

 

線香花火のように恋が儚く散る者もいる。

 

淡く切なくどこか甘いひと夏の恋の物語。

 

 

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波のように襲ってくる仕事に追われ残業が続き

 

ロクに出撃も出来ていなかった僕の唯一の楽しみは

 

テラスハウスを見ることくらいだった。

 

ぼけーっと何も考えずダラダラ見ていた僕は

 

ふと、ひと夏の恋がしたくなった。

 

その週末、淡々と仕事を終わらせ

 

ストリートナンパに出た。

 

空気はまだ、夏の緑の匂いがした。

 

何声掛けかし、ギアが上がった頃に彼女に出会った。

 

茶髪のロングヘアー、グレーのノースリーブ

 

スキニーデニムにストラップサンダル。いこう。

 

 

こんばんは。

 

もう夏も終わりですかね?

 

はい?

 

さっきあそこですれ違って。

 

今から友達とご飯なのに

 

とても綺麗だなと思って

 

走って戻ってきちゃいました。笑

 

いやいや、友達大丈夫なんですか?笑

 

夏の終わり、僕にチャンスをください。

 

本当は今日にでも行きたいのですが

 

友達とご飯なので後日ご飯に誘います。

 

LINE教えてください。

 

 

目的をすぐに伝え、自己開示をする。

 

最近ストリートナンパをする際

 

心掛けていることだ。

 

そして1番大事だと思うのは熱意を込めること。

 

心からこう思ってるよと

 

目、表情、声、ジェスチャー、で伝える。

 

グダられはしたがビタ止めし、

 

しっかりと自己開示をしたら

 

LINEを交換してくれた。

 

その場で日程調整を終わらせ、

 

改札まで送る。

 

その日の帰り道は、少し歩幅が大きくなった。

 

 

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それから毎日彼女の仕事終わりの時間を

 

狙って電話をかけた。

 

彼女が駅から家まで歩く10分。

 

声を掛けたあの日からその10分は僕の物になった。

 

趣味、友達、仕事、恋愛の話。

 

彼女はこう言った。

 

 

今年花火見てないねん。

 

 

以前最寄りストをした時

 

夜中の公園で花火の動画を見ながら

 

飲んだことがあった。

 

最初は

 

画面小さーい笑

 

などとは言われたが、お互いケラケラ笑い合って

 

見てた思い出がある。

 

これだ。

 

急遽アポを変更し終電で合流する旨を伝える。

 

彼女は首を縦に振った。

 

首を振っている気配が電話口から伝わってきた。

 

 

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君はヒロイン。

 

ドラマの主人公のような気持ちで今日は来てね。

 

笑かさんといてめっちゃおもろい。笑

 

終電で合流する。

 

綺麗だ。

 

輪郭からはみ出るほど真紅に塗られた唇

 

とても色気がある。

 

青春ルーティンで自転車の後ろに乗せ

 

僕の少し前かがみになった丸い背中を抱かせる。

 

寝静まった街。

 

公園のベンチに2人腰掛け、

 

花火の動画を見る。

 

大輪の花を咲かせたちまちと消えていった。

 

 

わーー!綺麗だね!

 

そうやね、でも君の方が…

 

はいはい!そういうのはいいから!笑

 

 

仲良さそうにちょっとふざけてみたり。

 

それが何だか楽しく

 

お互い買った1缶のお酒は、すぐ底を尽きそうだった。

 

この曲が終わったらうちに帰ろっか。

 

曲を流し携帯を置いたその手を

 

隣にある細くて可愛く優しい手に被した。

 

彼女はこちらを向き恥ずかしそうに顔をゆがめて笑う。

 

まるでLOOP LOOP LOOP

何度でもFalling falling love

君との一日を繰り返しRound & Round & Round

僕はFOOL FOOL FOOL

君とならFalling falling down

出来んなら同じ日々を

何度も過ごしたいよ。

 

映画のワンシーンのような美しいキスをした。

 

一緒に寝よっか。

 

 

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心地よく長い間眠った。

 

眠い目を擦りながら隣を見ると

 

彼女はいなかった。

 

寝ぼけながら携帯を手に取る。

 

夏の思い出をありがとう

 

ひと夏の恋が終わった。